付加価値の向上 文章生成AI活用場面①メール・スピーチ原稿
なぜ生成AIのプロンプト(AIへの指示)が重要なのか?
前回記事では、生成AIの概要や業務への具体的な影響を記述しました。
付加価値の向上 生成AI 期待できる効果や利用に伴う注意は?
生成AIの出力は、入力するプロンプト(AIへの指示)の明確さや具体性に大きく依存します。OpenAIの公式ガイドによると、詳細なプロンプトを入力すると、回答の精度が向上することが確認されています。また、企業においても、AIを活用した業務効率化が進んでおり、プロンプト設計のスキルはDXを推進する重要な要素となっています。
しかし、多くのユーザーは「期待通りの回答が得られない」「生成AIが思ったように動かない」といった課題に直面しています。本記事では、適切なプロンプト設計のコツを解説し、誰でも簡単に生成AIを活用できる方法を紹介します。
初心者がつまずくプロンプト設計の難しさ
例えば、以下のようなプロンプトでは、意図した回答が得られにくいことがあります。
不適切な例「メールの返事考えて」
このプロンプトは、漠然としているため、返ってくる回答も漠然としたものとなり、求めている回答とズレる可能性が高くなります。特に初心者は、「何を聞けばよいのか分からない」という悩みに直面しがちです。
また、以下のような課題も見られます。
-
曖昧な表現:
「詳しく」「簡単に」など曖昧な表現を使うと、生成AIが適切な回答を生成しにくい -
出力形式の指定不足:
文章、箇条書き、表など、求める形式を指示しないと意図しない回答が返る -
背景等の文脈不足:
AIに背景情報を与えないと、一般的すぎる回答になる
これらの課題を解決するためには、プロンプトの作成に一定の工夫が必要です。

効果的なプロンプトの作成方法
適切なプロンプトを作るためには、具体的な指示を明確に出すことが重要です。以下の手順でプロンプトを作成すると、より精度の高い回答が得られます。
① 具体的な内容を含める
プロンプトはできるだけ具体的に記述しましょう。例えば、以下のように改善できます。
不適切な例
「お礼メールを書いて」
改善した例
「以下をもとに、本日の商談に対するお礼メールを作成してください」
- 宛先:
取引先の担当者 - 内容:
商談のお礼+提案内容の再確認+今後のスケジュール調整のお願い - トーン:
丁寧かつビジネスライク - 長さ:
3〜4文程度の簡潔なメール
ポイント
- 明確にする(商談のお礼)
- 必要な要素をリスト化(お礼・提案確認・スケジュール調整)
- トーンや長さを指定(丁寧・簡潔)
- 個人情報は入力しない
② 役割や求める条件を詳細に指定する
AIに特定の視点を与えると、より希望に沿った回答が得られます。
不適切な例
「スピーチの原稿を作って」
改善した例
「あなたは50年続く企業の2代目経営者です。40名規模の社員を前に新年の挨拶をします。以下の条件でスピーチ原稿を作成してください」
- 伝えたい内容:
会社の歴史と伝統を尊重しつつ、新たな成長への決意を伝える
社員のモチベーションを高める
会社のビジョンを共有し、チームの結束を強める - 対象:
長年勤めるベテラン社員と若手社員が混在する職場。 - トーン:
温かみのある口調で、親しみやすく、それでいて経営者としてのリーダーシップを示す - 長さ:
3〜5分(800〜1,000文字程度) - 補足:
今年から新卒だけでなく中途採用に力を入れて中間層の厚みを増やす方針である
ポイント
- 「あなたは○○です」と役割を明確に指定(創業50年企業の2代目経営者)
- 伝えたい内容を明確にする(伝統+成長+ビジョンの共有)
- スピーチの長さを指定
- 盛り込んでほしい背景についても言及する(補足)
自分好みの情報を入手するポイント
生成AIは、世界的に非常に注目度の高いジャンルであり、日進月歩で可能性はますます広がりを見せています。あくまで執筆時点(2025年2月)でというものにはなりますが、他にもプロンプトで工夫できる箇所があります。
チャット履歴を活かす
同じチャットの中であれば、ChatGPTは以前のやり取りを理解したまま回答します。
- 「先ほどの説明に、補足を加えて小学生にもわかるように教えて」
- 「こちらの問題についてポイントを別の角度や手法から解説して」
余分な情報をリセットする
長くやりとりを続けたことで要点が曖昧になった場合、新しいチャットを開くと混乱を避けることができます。
文章の書き直しをリクエスト
議事録やメモを指定した表現に書き直すことも可能です。
「こちらの箇条書きの内容をお客様が読んでも違和感ない文章に修正してください」
実践第一
生成AIの活用には「適切なプロンプト設計」が欠かせません。具体的な記述、役割や条件の指定を意識することで、より効果的な回答を引き出せます。
今回紹介したプロンプトをもとに実際に試してみてください。同じプロンプトでも違う回答が出力されるため、「AIがどのように解釈するか」を意識しながらプロンプトを工夫することで、徐々に質の高い回答を得られるようになります。
利用する際は、機密情報や著作権の取り扱いは必ず確認してください。
付加価値の向上 生成AI 期待できる効果や利用に伴う注意は?
今後も文章生成AIが活用できる場面とそれに適するプロンプトの紹介をしていきますので、お楽しみに!