ペーパーレス化

ペーパーレス化について

中小企業がDXを進めるきっかけとなることが多い取り組みがペーパーレス化です。例えば、書類をスキャナーで電子化することで紙での保存が最小限になる、会議や打ち合わせのために資料の印刷が不要になるなど効果を実感しやすいです。

特に業歴の長い企業で、昔ながらの業務のやり方や流れが継続している場合、業務の省人化やコスト削減に大きく貢献する可能性があります。

ペーパーレス化のメリットとデメリット

メリット

  1. コスト削減:印刷費用やファイル棚が不要になる。
  2. 作業効率の向上:クラウドのデータベースに保存することで、外出先でも確認可能。また、検索機能も備わっており、情報を素早く見つけることができる。
  3. 環境への配慮:紙の使用を削減することで、環境保護にも貢献できます。

デメリット

  1. インターネット環境が必須:オフラインでの作業ができないため、インターネット接続が重要です。
  2. 新しいツールへの慣れが必要:デジタル化ツールの操作に慣れるまで、多少の時間がかかる場合があります。
  3. セキュリティリスクの把握と対策:データのデジタル化により、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが高まります。そのため、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

実際のペーパーレス化事例と効果

請求書処理と承認作業の手作業

製造業を営むある企業では、毎月の請求書処理と承認が紙ベースで行われていました。

担当者は、紙の請求書を手作業で記入し、上司や経理部門に回して承認を得る必要がありました。複数の部署が関わるため、請求書は何度も手渡しで回され、時間がかかり、承認が遅れることもしばしばありました。

また、大量の紙の請求書を保管するために、多くのファイル棚が必要で、オフィススペースが圧迫されていました。

オンライン請求書管理システムの導入と効果

社内で検討の結果、オンライン請求書管理システムを導入しました。
請求書は電子データで受け取り、担当者がデータを入力すると、システム内で自動的に経理部門や上司に通知を送付できる仕組みがあります。

また、承認プロセスもすべてオンラインで可能になり、上長が出張先でも端末から承認ボタンを押すことで稟議を通すことができます。承認が完了すると電子的に保存されるため、物理的な保管スペースも不要となりました。
導入後の効果として、以下を得ることができました。

  • 紙での回覧を省きデジタルに移行したことで、承認までの時間が大幅に短縮
  • データがクラウド上で一元管理できるため、過去の請求書を瞬時に検索することが可能
  • 印刷費用や保管スペースの減少

ペーパーレス化を成功させるためのポイント

  • 業務の流れを整理する: 業務の流れを整理するために業務フロー図を作成することで、ペーパーレス化に適した業務を可視化できます。複数箇所ある場合は、優先順位や実現可能性、今後の展望も加味することで業務改善に繋がります。
  • 社員への教育・導入支援: 社員への教育・導入支援:新しいツールは、社内に浸透するまでが大変です。実際、ツールを導入したものの社内メンバーが全く使わずに旧体制に戻ってしまう事例はたくさんあります。社員の利用レベルは様々なため、社員への教育やサポート体制を用意し、定期的に実態を確認し続けることが重要です。経営者自ら音頭を取って推進することが理想です。

まとめ

ペーパーレス化は、単に「紙を減らす」だけではありません。業務の流れを整理することで業務全体の効率化と業務環境の改善に繋がります。コスト削減や時間短縮といった効果を最大限得るために、業務の見直しを行い、ペーパーレス化を会社全体で継続的にデジタル化を進めるきっかけにしたいですね。