画像・動画制作における生成AI

生成AIが開く新たな可能性
過去AIについて記事を記載してきましたが、最近では画像や動画の生成も可能になっています。
▼生成AI①記事
付加価値の向上 生成AI 期待できる効果や利用に伴う注意点は?
▼生成AI②記事
付加価値の向上 文章生成AI活用場面①メール・スピーチ原稿
例えば、これまでプロのデザイナーに依頼しなければ作れなかった商品プロモーション画像や、映像編集スキルが必要だった動画コンテンツも、AIを活用することで簡単に制作できます。しかし、現時点(2025年3月)では、完成した画像や動画にはまだAIらしさが残ってしまうものもあるため、今までの代わりとしてそのまま活用できるということではありません。今回の記事では、現時点でAIを活用した制作活動でできることはなにか、具体的なツール、利用する際の注意点についてご紹介します。
小規模事業者が抱える「コンテンツ制作の壁」
画像や動画を活用した情報発信は、集客や販促において重要な役割を果たします。しかし、多くの小規模事業者が以下のような課題を抱えています。
- デザインや動画制作のスキルがないため、外注するしかない
- プロに依頼すると高額になりがちで、小規模事業者には負担が大きい
- SNSやウェブサイトの更新頻度を増やしたくても時間が足りない
- 自社で作成しようとしても、一定のパターン化は避けられず、コンテンツのバリエーションが限られる
生成AIで画像や動画制作をする際は大きく2パターンに分かれます。
1.広報用のビジュアルやSNS投稿用の画像を、生成AIに指示をしてゼロから生成。こちらは特にAIらしさが残ってしまうため、利用箇所の検討が必要です。
生成AIへの指示の例.
- 新商品の告知画像:「やさしい自然光が入り込んでいる部屋にベージュの机があります。そこに手作りのクロワッサンを並べた温かみのあるデザイン画像を作成してください」
- イベント告知:「マルシェを開催する様子の画像を作成してください。青空の下で色とりどりのテントや屋台が並び、地元の農家が持ち寄った新鮮な野菜や果物がかごに溢れている。にぎやかに買い物を楽しむ人々で溢れかえっている様子」
2.画像や動画の編集を半自動化
この方法では、すでにある写真や動画をAIで加工し、効率よく編集します。簡単なものやシンプルなものとの相性がいいです。
生成AIへの指示の例.
- 商品写真の背景を削除・変更:通販サイト用に、撮影した商品写真の背景を白に変更
- イベント動画の簡単編集: AIが自動で不要な部分をカットし、ハイライト映像を作成
- インタビュー動画の字幕自動生成:社員インタビュー動画にAIが自動で字幕をつける
代表的なツール紹介
今回紹介するツールは、画像や動画等を制作できる機能にAIが搭載されているものがほとんどです。ご自身ですでに利用しているサービスがあれば、AI機能も一緒に試してみてください。
① ChatGPT
文章生成の際に紹介したChatGPTも画像や動画制作に利用できます。また、画像編集も簡易的な作業であれば実施できますが、その都度出来栄えにはばらつきがあるため必ず完成品は確認してください。
②Canva
画像や動画だけでなくチラシやスライド資料を作成・編集できるグラフィックデザインツール。豊富なテンプレートをもとに、デザイン初心者からプロまで幅広いユーザーが利用しています。無料で利用できることからユーザー数も非常に多いです。
できること
- 生成AIに指示をするとゼロからイラスト、絵画、写真などあらゆる画像を自動生成
- AIが音声を解析し、自動で字幕を追加する機能
- 完成した動画のイメージや雰囲気にあった音楽も生成可能
- テキスト読み上げ機能を使いAIを利用したナレーション動画の作成が可能。自分の写真をアップロードしてAI化することもでき、読み上げスタイルや喜怒哀楽のトーンも選択できる 等
③ Adobe Express
ポスターやチラシ、SNS投稿画像やYouTubeのサムネイルだけでなく簡単なアニメーションや動画制作も可能なサービス。テンプレートやデザイン素材も豊富で、デザイン経験がない人でも制作物の作成が可能です。
できること
- 生成AIに指示をしてゼロから画像を生成可能
- 画像に差し込む文章を書き換え
(ある文章を「短くする」、「心に強く訴える」ように言い換え) - 動画の背景を削除
- 画像の拡張によりデザインサイズに変更
例.横長の画像をInstagram用に縦写真へ変更 等
④Vrew
AIを活用した無料で利用できる動画編集ソフトです。
できること
- 音声認識により、動画をアップロードすると自動で字幕を作成
- 5ヶ国語、約200+種のクオリティー高いAI音声が使える
- テキストを入力するだけで、AIの音声が読み上げてくれる機能がある
- 動画の合間の無音を自動で探すことができ、編集点が見つけやすい 等
生成AIを活用する際の注意点
伝えたいメッセージや内容をしっかり確認する
生成AIは学習データに基づいて、画像や動画を生成するため、特定の文化や価値観に偏った結果が出ることがあります。例えば、ある特定の職業を表現する際に男女比が偏る、特定の人種や地域のイメージが固定化されるといった問題が発生する可能性があります。特に画像や動画は、直感的に伝わりやすいため、間違った内容によって誤解を与える可能性があります。
また、AIが生成する画像や動画は、ツールによって解像度や品質に制限がある場合があります。生成されたコンテンツを利用する際は、メッセージや内容が適切であるかどうかを慎重に確認しましょう。
プライバシーや機密情報の漏洩リスク
AIサービスに画像や動画をアップロードすると、その情報がサービス提供元の品質向上やAI学習に利用される可能性があります。アップロードするデータに個人情報や機密情報が含まれていないかを慎重に確認することが大切です。特に企業や組織でAIを活用する場合は、組織内のセキュリティポリシーを事前に確認し、安全な範囲で利用しましょう。
また、一般向けの無料版とビジネス向けの有料版では、データの取り扱いやセキュリティポリシーが異なる場合があります。一例ですが、無料版とビジネス版で利用規約が異なり、商用利用の範囲が制限されることもあります。
利用前に必ず各サービスの利用規約やマニュアルを確認し、安全に利用しましょう。
著作権・肖像権などの権利関係を確認
AIが生成した画像や動画には、意図せずに既存の作品や実在する人物、ブランドに似た表現が含まれることがあります。そのため、著作権や肖像権、商標権を侵害していないか、事前にしっかり確認する必要があります。
また、使用するAIツール自体が商用利用を許可しているかどうかも確認しておきましょう。最終的にはユーザー自身が責任を持って、権利侵害がないかを管理する必要があります。
AIと著作権について | 文化庁
まとめ
今回の記事を読み興味を持った方は、注意事項に気をつけながら、まず無料のツールから試してみてください。