デジタル化はスタッフの働きやすさのためと断言! 社長歴が30年目となる社長の製造業のデジタル化推進の秘訣

株式会社 長谷川鉃工
近年「DX」をはじめデジタル化促進をよく耳にするようになりました。
中には、上司から指示があるものの何をすればいいかわからず対応に困っている従業員も多いのではないでしょうか…
今回は、株式会社長谷川鉄工の長谷川睦 代表取締役にデジタル化推進に対する考えや進め方を聞いてみました。
「デジタル化=手段」を強く意識・実践されている企業ですので、業種問わず必見です!

事業内容
建築鉄骨・建築金物工事の設計、製作、施工、各種鋼構造物設計施工
社員数
21人

作業時間が大幅削減された検査報告書作成

メディアでも多く取り上げられている検査報告書の簡素化について概要を教えてください。

現場工事した際の報告を、発注者に提出する義務があり、作成のためだけに事務所に戻っていました。現場で撮影した検査写真をExcelに入力し、報告書を完成しプリントアウトして保存するのですが、それが長時間労働につながっていました…
課題解決のために、LINE WORKSのチャットボットとkintoneを導入し連結させました。工事終了後、現場で直接、スマートフォンからLINE WORKSのチャットボットにデータを入力します。報告書作成ボットのトーク画面に、会話形式でやりとりしながら情報を埋めていくと報告書作成に必要なデータを集めることができます。データは自動でkintoneへ登録され、それが報告書となります。そのため、わざわざ事務所に戻って作業する必要がなくなり残業時間が削減されました。

このアイディアはどこから生まれたんですか。

会社経営をする上で「人の管理ではなく、仕事の管理をしよう」を大事な信念にしています。端的に言うと、なにか業務で失敗が起きたときには、人のせいではなく仕事の工程や作業そのものに原因があると考えています。具体的なアクションとして、業務でミスがあった際は、エラーカウントをA4用紙に作成してもらい、それをまとめたものを社内ホワイトボードに掲示し周知しています。実は、今回の検査報告書の簡素化もこれがきっかけなんです!
また、検査報告書の課題解決のアイディア自体は、もともとあったものではなく、たまたまエラーカウントに記載されている課題を一つずつなんとかできないかと、経営者仲間との会合の際に話題にあげたことがきっかけでLINE WORKSの方を紹介してもらい、そこからトントン拍子でさきほど話したツール導入と連携が進みました。
今回の件もそうですが、タイミングと人の縁に恵まれて結果的に好転するケースが多いなと思っています。違う人に相談してたら、もっといい案があったかもしれないとも思っています(笑)

導入時において現場スタッフたちの反応はいかがですか。

スタッフからは、作業が簡単になり、ストレスが無くなったという声をよく聞きます。そう言う意味で、導入して良かったと強く思います!
実は、過去に他業務で何度もデジタル化にチャレンジしたことがありますが、私が成果をすぐに求めすぎてしまい、うまくいかなかったことがありました。従業員に「このツールどう?」「効率的になった?」を数字で求めてしまい、下回っていたため取りやめてしまったことも…
経営者なので数字を気にすることは当たり前ではありますが、今後デジタル化を進めたい企業さんはスタッフに過度な期待をしすぎないように気をつけて欲しいです。
今回の導入・運用の際は、スタッフのことを信頼し進捗をあえて追わないようにしたことで、急に使いこなせない状況にも特に焦らず見守ることができました。

インタビューを受ける長谷川社長インタビューを受ける長谷川社長
エラーカウントで課題を一元管理エラーカウントで課題を一元管理

デジタル化は、スタッフのため

デジタル化に対してはどのようなお考えをお持ちですか。

デジタルを積極的に活用していこうという世の中の風潮ですが、私はそこまで乗り気ではありません。会社の中心は人であり、スタッフが輝くために必要であれば道具(デジタル)を活用するという考えです。またデジタルで業務効率化が実現できても、今のスタッフを減らすことは絶対にしません。むしろスタッフが活躍できる場所を作りたいです。僕にとって全員自慢のスタッフなので!

今後のデジタル化への取組でなにか具体的な策は考えています。

スタッフから声が上がれば、どんな事案でも積極的に検討しています。最近では、巻尺計測の際に音声入力できないかと試行錯誤しています。津軽弁や外国語を話すスタッフもいるので、記号や数字で認識できるといいかもなと。(まだイメージ段階ですが…)
デジタル化をこちらが進めたいと思っても現場や職人の都合もあるので、コミュニケーションやスタッフの納得感は大事にしています。
今回の検査報告書の効率化で雑務が減ることで、スタッフのストレスが減ることがわかったので、できることは今後も積極的にやっていきたいです。

スタッフ一同でお出迎えするウェルカムボード
長谷川鉄工さん名物!特徴的な個人写真長谷川鉄工さん名物!特徴的な個人写真

特徴的な取り組みの裏側

話は変わりますが..ウェブサイトや各企画が特徴的ですよね!
デジタル化推進の考えに重なる部分もあるかと思い、お話きかせてもらえればと思います。

ありがとうございます。作業服や名刺づくりをはじめ各取り組みで、業界内のパイオニアである自負があります。最近では非常にポジティブなお声をいただくことも多いのですが、当初は周りから、「あいつは何をやっているんだ」という声がありました…
それでも続けられたのは、実はとってもシンプルで、スタッフの子どもたちに「お父さん、お母さんかっこいい!」って言わせたいだけです。そんな大人が集まって一生懸命仕事をする。それが結果として長谷川鉄工を大きくしてくれました!その証拠に、10年で一人前と言われる業界ですが、うちのスタッフは2年も経てばある程度戦力になります。それはやはりスタッフの結束の賜物かなと!

なるほど!社員さんを大事にされている点がやはり企業に根付いてるように感じます。
最後に、これからDXを進めたい企業に一言お願いします!

ちょっとずつ進めていますが、業界含めまだまだ遅れている実感はあります。その原因の一つに取り組んでみること自体がハードルになっていると感じています。基本ですが、まずはやってみる!これに尽きると思います。我々も引き続き取り組んでいきます。

外国人スタッフさんも明るく元気な挨拶をしてくれました外国人スタッフさんも明るく元気な挨拶をしてくれました
企画で使う大道具も本気で作成しているとのこと企画で使う大道具も本気で作成しているとのこと

株式会社 長谷川鉃工

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